【8月4日 People’s Daily】7月、中国寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)賀蘭県(Helan)で養殖された初めてのスズキが出荷された。15万匹の成魚は供給が追いつかず、大きいものは500グラムあたり約20元(約340円)も高い。北西部の内陸部に位置する寧夏では、水産養殖の発展には多くの制約があるが、今回出荷されるスズキは元気よく跳ね回り、見た目が良いだけでなく、以前に南部地方から運ばれてきていたときよりひと月くらいも早い。その背景には技術革新がある。

 過去しばらくの間、賀蘭県の水産養殖家の王旭軍(Wang Xujun)さんはとても悩んでいた。父の時から数えて40年以上魚を養殖してきたが、近年はどんどんもうからなくなっていた。

 生産量を上げるために、王さんは「飽和式」に魚の餌を与えたが、水が濃くなっても生産量は伸びなかった。「大金をかけ、魚に餌をやったが、魚に摂取されたのは三割足らずで、残りの七割は汚水になってしまった」。汚水が排出されるのを目の当たりにし、王さんはもったいないと思い不安だった。環境規制の高まるにつれ、養殖場が整備対象になった。

 清華大学(Tsinghua University)の水環境整備を研究する金浩軒(Jin Haoxuan)教授は、養殖場に汚水の整備技術を持ってきたが、彼の心境は複雑だった。汚水を処理しないと養殖場は閉鎖しなければならないが、養殖業者はもともと利益が高くないので、そのもうけだけではコストを埋めることすらできない。汚水を処理するには、養殖業者の経済的条件を考慮しなければならない。

 汚水の処理には汚水からだけでなく、源から解決しなければならない。このため、北西部に4年間も滞在した金先生は、その白い肌は黒い肌に、汚水処理の専門家は養魚の専門家に変わった。チームは汚水処理のことのみに目をむけるのではなく、養殖業者に良い水でもって良い魚を育てさせることへと発想を変えた。利益が高ければ高いほど、養殖業者は汚水を処理する気が湧いてくるからだ。

 かつて寧夏では四大養殖魚(アオウオ、ソウギョ、レンギョ、コクレン)しか養殖しておらず、それらの魚は粗放かつよく生きられるが、売値は安い。肉が柔らかく高く売れる南部地方の魚種は、温度や気候が合わないため、業者が養殖してもすぐ死んでしまう。金先生は養殖業者たちに、過去に大規模な排水、大量の飼料で大量養殖の道は通用しなくなってしまったが、黄河の水質は良いので、「市場で人気な魚を飼いましょう!」と勧めた。養殖業者たちは「スズキはコイ、ソウギョより4倍も高いから、よく養殖できることができれば信じてやる」と言い返した。

 そこで、清華大学の水チームは魚のプロジェクトを始めた。スズキはきれい好きで、水が少しでも汚れたら餌を食べなくなる。北西部の水温は低く、水を換えるたびに池の温度が数度も下がる。それに、北西部の日照は強く、富栄養化して藻類が大量繁殖し、酸素が不足してしまう。北西部の寒い日は長く、こっちの魚が大きくならないうちに、南部地方の魚がすでに市場に出てきた。解決の道は1つしかない。それは池を小さくし、精密化し、保温管理を進めることだ。

 チームは何度もスズキの養殖を試行錯誤し、ビニールハウス、小さな池、浄水の組み合わせの方法を探り出した。彼らは微生物を利用し、有害なアンモニア性窒素や亜硝酸塩を無害化し、食べ残した餌やふんを水循環機械でろ過し肥料にした。池1面分の汚水は1日に数杯しか排出されず、蒸発する以外は、ほとんど水を消費しない。

 水を節約しただけではなく、生産量と利益も大きく違った。200立方メートルの水で年間2000キロのスズキを出荷することができ、以前コイを飼っていた時よりも餌も節約できた。昔は南部地方からの仕入れに頼り、損耗が大きかった。今では地元の魚は見た目がよく、市場に出るのが早く、高く売れるし競争力もある。

 現在、チームが探索した養殖モデルは銀川市(Yinchuan)科学技術局と農業農村局が共同でプロジェクトを立ち上げ、普及をサポートしている。すでに5つの大規模な養殖業者が試養殖に参加し、27の大手企業が参加を確定させ、数千の個人養魚家が数回に分けて見学研修を行う予定だ。(c)People’s Daily/AFPBB News