【8月4日 AFP】デンマーク領グリーンランド(Greenland)で、1頭のホッキョクグマが何度も人間の近くに現れる事態となっている。当局は、次に人間に危害が及んだ場合には射殺を認めるとしている。今週にはドキュメンタリー制作チームの一人が手をかまれた。

 グリーンランドでは記録的な熱波が続いており、ホッキョクグマは餌を求め通常よりも長距離を移動している。

 ドキュメンタリー制作チームが襲われたのは、デーンボルグ(Daneborg)にあるデンマーク軍の小規模基地から約400メートル離れた研究ステーション。ホッキョクグマは2日早朝、しっかり閉まっていなかった窓に頭を突っ込んだ。この地域は緯度が高く、太陽が沈まない白夜だった。

 グリーンランドに駐留するデンマーク軍によると、ホッキョクグマは、3人いた制作チームの一人の手をかんだ。制作チームは、威嚇用のピストルを使ってクマを追い払ったという。

 このホッキョクグマはこれまでに、5度人間に接近したとされている。同日の朝に再び戻ってきた他、2日から3日夜にかけ現れ、研究ステーションの窓を壊して立ち去った。

 デンマーク軍は、「地元当局はこれ以降、このホッキョクグマを『問題がある』クマに分類したので、再び現れたら射殺できる」と述べた。

 グリーンランドは熱波に見舞われており、気温が23.4度と史上最高を記録した。

 専門家らによると、ホッキョクグマの狩り場である海氷が減少していることから、陸地にいることが多くなり、餌を探すのが難しくなっている。すでに脆弱(ぜいじゃく)な状態にあるホッキョクグマの種の保存がさらに難しくなっている。

 自然保護当局によると、現在でもまれではあるが、ホッキョクグマが餌を求め人間の居住区に近づくことが増えており、人間との遭遇も増加している。(c)AFP