【8月4日 AFP】「まるで爆発だった」──畜産農家のメブリュト・タリム(Mevlut Tarim)さん(67)は、トルコ南部で広範囲に広がり、8人が死亡した山火事をこう振り返る。燃え盛る炎が、家畜の牛を生きたまま焼いたと話す。

「一瞬で火が起こった」と、タリムさんはAFPに語った。真っ黒な煙が立ち込め、農場を取り囲むように芝生が燃える中、叫び声を上げる家畜を押したり、引っ張ったりしてようやく避難できたという。

 タリムさんは、死ななかったのは運が良かったと語った。

「飼っていた牛の1頭は死んだ。焼けてしまった」とタリムさん。「あんな光景は見たことがなかった。火事じゃない。まるで爆発だった」

 他の農家もタリムさんと同じような経験をしている。トルコ南部の海岸地域で発生した、近年最悪規模の壊滅的火災は、7日間続いている。

 数千頭の家畜が死に、丘陵を覆う緑豊かな森の大部分には燃え尽き骨のようになった木と灰が残された。

 苦悩に満ちた農家らは、比較的安全なエーゲ海(Aegean Sea)と地中海沿岸に家畜を連れて行こうとしている。

 しかし、パニックになった家畜を移動させるのは難しく、燃え盛る炎が風にあおられどこに向かうかは予想が付かない。

 空からは消防隊がヘリコプターで海水をまき、陸上ではホースで消火活動が行われているものの、タリムさんのように助けが間に合った農家ばかりではない。(c)AFP