【8月4日 AFP】埼玉県行田市に、恒例となっている壮観な「田んぼアート」が今年もお目見えし、訪れる人を楽しませている。

 色の異なる複数種の稲を用いて絵を描くこの取り組みは、観光客を呼び込もうと2008年に始まった。2015年には、約2.8ヘクタールの「世界最大の田んぼアート」として、ギネス世界記録(Guinness World Records)に認定された。

 市の委員会が、毎年デザインを決定し、何百人ものボランティアが稲を植える。浮かび上がった作品は、近くの展望台から眺めることができる。

 今年は五輪で外国から観光客が訪れることを見込んで、「田んぼに甦(よみがえ)るジャポニスム~浮世絵と歌舞伎~」がテーマに選ばれたと行田市農政課の田頭柊平(Shuhei Tagashira)さんは語る。

 このデザインで「日本文化を世界に発信」することを目指したという。

 新型コロナウイルスの世界的な流行で、海外からの観光客に直接紹介する機会は訪れなかったが、50メートルある展望台からの眺めを楽しもうと足を運ぶ人はいる。

「思っていたより、迫力があった」と訪れた女性(23)は言う。

「もうちょっと簡単なものを造っていると思っていたけれど、複雑なものを大きく」作成しているのを間近に見て、びっくりしたと語る。

 田んぼアートを維持するのには人手がいる。

 先週の平日には、市の職員10人以上が鎌を手に草刈りをしていた。稲が不要な交配をして色が混じったり、他の植物が生えてきて絵柄がぼやけたりするのを防がなければならないからだ。

「その背の高い緑の草見える? それ稲じゃなくて雑草だから、抜いちゃって!」。少し遠くから作業を見守る田頭さんが、田んぼに分け入っていく職員に的確な指示を出す。

 プロジェクトには、地域の人々に農業に関心を向けてもらうという狙いもある。注意深く苗を植える必要があり、関わるのは地元の子どもも含め、例年なら1000人に上る。

 今年はコロナ禍のため、人数は半減したが、秋には、再度プロジェクトに関わる機会がある──稲刈りだ。参加した人には、お礼として2キロの米が贈られる。

 映像は7月30日撮影。(c)AFP/Harumi OZAWA