【8月3日 AFP】東京五輪の飛び込み女子で2冠を果たし、通算4個目の五輪金メダルを獲得した中国の施廷懋(Shi Tingmao)が、うつに悩まされていたことを告白した。

 1日に行われた板飛び込みで今大会2個目の金メダルに輝いた施だったが、試合直後の東京アクアティクスセンター(Tokyo Aquatics Centre)では涙を浮かべる場面があった。

 昨年調子が低迷した際に競技から退くことを考えたという29歳は、「メンタル面でのケアを受けて、うつ状態にならないようにしていた」と話し、中国勢としては珍しくプライベートな告白をした。

「精神科医や心理士に相談し、飛び込みの選手でいることによる精神的ストレスに関してかなり手助けしてもらい、うつやそういった状態と対処していた」

 さらに、競技を諦めることを考えるまで落ち込んでいたともほのめかしつつ、「結局は飛び込みが本当に大好きで、諦めるなんて絶対にあり得ないと気づいた」と話し、「だから、きょうここまでたどり着くのは、簡単ではなかった」と付け加えた。

 2016年のリオデジャネイロ五輪でも二つの金メダルを獲得した施は、精神的な葛藤を抱えていたといい、「頭の中に2人の自分がいて、お互いにせめぎ合っていた」と明かした。

「片方の自分は『金メダリストなのだから休養を取っていいし、もうやめることもできる』と言っていて、もう一人の自分は『諦めてはだめ。飛び込みが大好きなのだから』と言っていた」

 東京五輪では、女子体操のスーパースターであるシモーネ・バイルス(Simone Biles、米国)も、メンタルヘルスの問題を抱えていることを公表している。

 世界的に有名なアスリートでは、女子テニスの大坂なおみ(Naomi Osaka)も先日、うつに悩まされていたと告白し、一時休養を取っていた。(c)AFP