■「ここから先は自由!」

 2005年3月、エル・アセブチェ飼育センターの保護下で初めてイベリアオオヤマネコが誕生した。3匹生まれ、2匹が生き残り、繁殖適齢期まで数年間保護された後、自然に返された。2011年以後、5か所の飼育センターから自然に返ったイベリアオオヤマネコは300頭余りになる。

 およそ1歳になると、イベリアオオヤマネコたちは全地球測位システム(GPS)追跡装置をつけられ、自然の生息地に連れて行かれる。「そこでケージを開けてやります。つまり、自由です!」とリバス氏は話した。

 飼育下で生まれたイベリアオオヤマネコの85%は自然に返され、このうち約70%が生き残り、雌は1年に最多で6匹の子を産む。

 成果は上々だが、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種をまとめた「レッドリスト(Red List)」では、イベリアオオヤマネコは今なお絶滅の恐れが2番目に高い「絶滅危機(EN)」に分類されている。

 WWFの推測によると、イベリアオオヤマネコが絶滅の危険を脱するには、生息数が、生殖可能な雌750頭を含め3000頭を超える必要がある。(c)AFP/Diego URDANETA