【8月14日 AFP】「あそこには悪霊がいる。人もバイクも川に吸い込まれていくんです」──西アフリカ・マリの首都バマコのニジェール(Niger)川に架かるこの橋を渡るくらいなら、回り道をした方がましだとブカリー・サガラ(Boucary Sagara)さんは言う。

 ニジェール川の「第3の橋」は、別名「中国橋」と呼ばれている。川に架かる三つ目の橋で、11年前、中国企業の出資で建設されたからだ。

 古くから伝わるアニミズム(精霊信仰)によると、この場所は川沿いの聖地の一つで、全長1.6キロの橋の下には、いつも水の精霊が集まっている。精霊は善良な時もあれば、災いをもたらすこともある。

 多くのバマコ市民と同様、サガラさんも30分ほど遠回りして別の橋を渡り、この「非イスラムの地」には近づかないようにしている。

 だが「中国橋」の下の土手は、決して閑散としているわけではない。乾期には、強い水の流れで削られた黒い砂岩が川面から顔を出す。岩場は毎日のように、いけにえにされた家畜の血で赤く染まる。ささげられるのはヤギやニワトリ、ヒツジ。時にはウシもいる。

 多くの人がいけにえにした動物の肉を持ち帰る。

 ある男性は、誰かに呪いをかけられたので、それを解きに来たと語った。