【8月1日 AFP】中国・上海にこのほど、世界最大をうたうプラネタリウムがオープンした。中国の近年の宇宙探査について大々的に展示されている一方、宇宙開発の先駆者である米国についての言及は非常に限られている。

 中国政府は今年、中国共産党創立100年を記念し同党の功績をたたえるプロパガンダの一環で、宇宙開発分野のニュースを次々に発表している。

 中国はここ数か月で、火星に宇宙船を着陸させ、探査ローバーを降ろし、自国の宇宙ステーションに宇宙飛行士らを送り込んだ。

 新たにオープンした上海プラネタリウム(Shanghai Planetarium)では、これらミッションに使われた宇宙船の縮尺模型や、国家の科学的躍進をたたえる文言、習近平(Xi Jinping)国家主席と中国人宇宙飛行士との交信の様子を捉えた映像などが展示されている。

 娘とプラネタリウムを訪れた女性は、「今年は複数の宇宙飛行士が宇宙に行った。中国の誇りだ」と話した。

 一方、旧ソビエト連邦や中国の地政学的ライバルである米国の宇宙開発史についてはわずかしか触れられていない。

 1969年の米国の月面着陸については、小さな展示でそっけなく触れられているだけだ。また、「宇宙の英雄」と名付けられたコーナーで取り上げられているのは、ロシア人宇宙飛行士2人と、中国初の宇宙飛行士である楊利偉(Yang Liwei)氏だ。

 建物は、米ニューヨークのエンニアド・アーキテクツ(Ennead Architects)が設計したもので、渦巻く銀河をイメージしている。

 中国メディアによれば、広さは3万8000平方メートルで、サッカー場およそ五つ分。開発費は6億元(約100億円)に上る。

 映像は7月31日撮影。(c)AFP