【8月2日 AFP】タイでは、新型コロナウイルスの感染者が急増する中、黄衣の上から防護服を着た僧侶らが、酸素ボンベを運び、鼻から検体を採取し、火葬場に遺体を運ぶのを手伝っている。

 タイの新型コロナの累計感染者は59万7000人以上で、死者は4800人を超える。政府は感染力の高い変異株「デルタ株」による感染拡大への対応を迫られており、医療サービスは逼迫(ひっぱく)し、疲弊した経済がさらなる打撃を受けている。

 バンコクのスティサラーラム(Suthi Wararam)寺院のマハープロムポン(Mahapromphong)副住職(33)は、「公共医療制度にいまも無視されている人がたくさんいる」とAFPに語った。「私たちは行き合わせた人全員の世話をする」

 マハープロムポン師は先月21日から、バンコクの貧困地区で酸素ボンベや食料、衣料品を配っている他、検査用の検体採取を手伝っている。

 スティサラーラム寺院は新型コロナ感染者用の隔離施設にもなっており、そこで働く医師や看護師から検体の採取方法を学んだという。

 タイで僧侶は非常に尊敬されており、一声かけるとお布施が殺到したと語った。「施しのおかげで僧侶は生きることができる」とし、「私たちが人々にお返しをする番だ」と述べた。

 一方、チンワラーラームウォラウィハーン(Chin Wararam Worawiharn)寺院のスポンチャイタムモー(Supornchaithammo)僧侶は、火葬場へ遺体を運ぶのを手伝っている。

 スポンチャイタムモー師は、遺体の搬送が日々の務めになるとは想像だにしなかったが、手伝えることがうれしいと話す。

「出家した時には、こんなことをするとは思いもしなかった」とAFPに語った。「しかし、このような状況においては誰もが助けを必要としており、自分がここにいることを誇りに思う」 (c)AFP