■「爆発的に忙しい」

 開会式テレビ生中継の東京での平均世帯視聴率は50パーセントを超えていた。販売店や大会組織委員会(Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)の関係者によると、東京大会の関連グッズの需要も急上昇しているという。

 組織委の飯沼ひかり(Hikari Iinuma)マーケティング局主事は、開会式を契機にグッズ店舗は「爆発的に忙しくなってきた」と明かし、東京五輪関連商品を売るための特設店舗は、客不足でいったんは閉鎖したものの、現在は再開していると述べた。

 売り上げ増加の傾向は「都内で特に顕著」だとしており、売上高は明かさなかったものの、Tシャツやマグカップ、タオルなどが人気という。

 人々の気持ちの変化は、自国の選手たちの大活躍と無関係ではないだろう。日本競泳女子初となる2冠を達成した大橋悠依(Yui Ohashi)をはじめ、13歳の女子スケートボーダーの西矢椛(Momiji Nishiya)、柔道の阿部詩(Uta Abe)と阿部一二三(Hifumi Abe)きょうだい、卓球種目で中国の独占に終止符を打った水谷隼(Jun Mizutani)と伊藤美誠(Mima Ito)、女子ソフトボールチームなど、多くの日本勢が金メダルを獲得した。

 奈良女子大学(Nara Women's University)のスポーツ社会学研究者、石坂友司(Yuji Ishizaka)准教授によると、日本人選手が試合後のコメントで「喜びの爆発より、相手を考え、この場を準備してくれた人々への感謝を伝えている」ことが、抑制の効いた盛り上がりとなり、大会に対する反発を和らげる一助になっている可能性があると指摘した。