【7月31日 AFP】ニュージーランドオリンピック委員会(NZOC)は30日、同国代表として東京五輪に出場するトランスジェンダーの重量挙げ選手ローレル・ハバード(Laurel Hubbard)に対し、ソーシャルメディアで悪質な投稿が寄せられたと明かし、同選手を守ると表明した。

 来月2日に行われる女子87キロ超級で、トランスジェンダーであることを公表した選手として史上初めて五輪に臨むハバードは、オンライン上で激しい議論の的になっている。

 現在43歳のハバードは、出生時の性別が男性で以前は男性として競技に臨んでいたが、30代で女性に性転換した。今回はトランスジェンダーのアスリートに関して国際オリンピック委員会(IOC)が定めた基準を満たし、再びエリートレベルで競技に臨むことになった。

 NZOCの広報担当を務めるアシュリー・アボット(Ashley Abbott)氏によれば、ハバードは「とりわけ大きな注目」を集めているが、東京五輪ではなるべく目立たないようにしているという。

 ソーシャルメディアでの注目は全てが好意的なものではなかったといい、アボット氏は「すさまじい数のコメントを目にしており、その多くが不適切なものだ」と語った。「われわれは組織として、自国のアスリート、あるいは全てのアスリートをSNS上の攻撃から守っていく」とし、「われわれは、ネットいじめを一切容認しない」と表明した。

 男性として成長期を過ごしたハバードには肉体的に有利な部分が多くあり、女性として生まれた選手たちに交じって出場するのは不公平だという批判の声もある。

 その一方で、同選手の出場は包括性とトランスジェンダーの権利にとっての勝利と支持する声も上がっている。

 2015年に導入されたIOCの現行規則では、トランスジェンダー女性は男性ホルモンのテストステロン値が1リットル当たり10ナノモル未満であれば、大会への出場が可能となっている。(c)AFP/ Neil SANDS