【7月31日 AFP】米国は30日、中国で発生した大規模な洪水を取材している外国人記者に対する嫌がらせや脅迫について「深刻な懸念」を表明した。

 中国政府は29日、中部で発生した洪水をめぐり、英BBCが「フェイクニュース」を流していると非難した。一方、BBCは洪水を取材した記者がネット上で激しい批判を受けていると述べていた。

 米国務省のネッド・プライス(Ned Price)報道官は、「米国は、河南(Henan)省で最近発生した洪水による被害を取材している外国人記者を含め、中国で米国人記者をはじめとする外国人記者に対する監視、嫌がらせ、脅迫が激化していることを深く懸念している」と述べた。

 さらに、「中国政府は外国メディアを歓迎し、その活動を支援すると主張しているが、行動は別のことを物語っている」と指摘した。

 中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は29日、BBCを「フェイクニュース放送局」と呼び、「中国を攻撃して中傷し、ジャーナリズムの基準を大きく逸脱している」と非難した。

 BBCは、洪水を取材した記者がネット上で激しい批判を受け、別のメディアも現地で嫌がらせを受けていると指摘し、「外国人記者を危険にさらす攻撃が続いている」と述べた。

 中国に否定的な描写がますますデリケートになる中、BBCは、鄭州(Zhengzhou)市で先週発生した洪水で、ラッシュアワーに地下鉄が浸水し、14人が死亡、500人以上が車内に閉じ込められたと報じた。

 AFPの記者も浸水したトンネルの取材中、鄭州の住民に映像を削除するよう迫られ、男性数十人に囲まれた。

 趙氏は30日の記者会見で米国務省の批判に反論し、「露骨なダブルスタンダード(二重基準)と覇権主義的ないじめ」だとして米政府を非難した。

 さらに、米国は以前に中国人記者を国外退去させ、「差別的な制限」を課したと述べ、「自らを省みて、中国への絶え間ない攻撃をやめる」よう米政府に求めた。

 報道の自由の擁護団体によると、外国人記者は中国で活動しにくくなっており、路上で尾行されたり、ネット上で嫌がらせを受けたり、査証(ビザ)の発給を拒否されたりしている。

 プライス氏は29日、2022年北京冬季五輪の報道を制限しないよう中国に要請し、「中国に対し、2022年北京五輪・パラリンピックに向けて、外国メディアと世界を心から歓迎する責任ある国家として行動することを求める」と述べた。(c)AFP