【7月31日 AFP】中国・香港のショッピングセンターで今週行われた東京五輪の中継で、観衆が中国国歌にブーイングし、シュプレヒコールを上げて演奏をかき消したことを受け、香港警察は30日、捜査を開始したことを明らかにした。

 香港は今大会で、フェンシング男子の張家朗(Edgar Cheung Ka-long)がフルーレ個人で金メダルを獲得したほか、競泳女子の何詩●(Siobhan Haughey、●=くさかんむりに倍)が2個の銀メダルを獲得。メダル獲得数は過去最多となっている。

 ショッピングセンターで26日夜に行われたフェンシングのパブリックビューイングには数百人が集まり、張が勝利すると大きな歓声が巻き起こった。その後の表彰式で中国国歌が演奏されると、観衆の一部はブーイングを始め、「ウィー・アー・ホンコン(私たちは香港だ)」と唱和。その様子は生放送された。

「ウィー・アー・ホンコン」は、香港のサッカーファンがしばしばキックオフ前の中国国歌演奏時に叫ぶ言葉。香港では昨年、中国国歌や国旗に対する侮辱行為を禁止する条例が成立しており、当局はその際、条例が必要な理由の一つとしてサッカーファンによる問題行為を挙げていた。

 香港警察は30日、ショッピングセンターの観衆が同条例に違反した疑いについて捜査していることを認め、40歳の男性を逮捕したと発表。会場では植民地時代の香港旗を掲げたり、周囲にブーイングを促して国歌を「侮辱」するよう扇動したりした人がいたとし、そのような行為は「憎悪をあおり、スポーツを政治利用する」ものだと指摘した。(c)AFP