【7月31日 AFP】世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は30日、日本は東京五輪の開催中に新型コロナウイルス感染拡大を最小限にとどめるため「最善を尽くした」と評した上で、「リスクがゼロになることはない」とも指摘した。

 五輪開幕から1週間がたった日本では、新型ウイルスの感染が過去最悪規模に拡大。政府は30日、東京などに発令中の緊急事態宣言の対象に、大阪、埼玉、千葉、神奈川の1府3県を追加すると発表した。

 テドロス氏はスイス・ジュネーブのWHO本部で開いた記者会見で、「リスクがゼロになることはない。低くなるか高くなるかだ。低いリスクで事を運ぶために、最善を尽くすのみだ」と説明。日本と国際オリンピック委員会(IOC)は「リスク最小化に向け最善を尽くした。リスクがゼロになることは誰も期待すべきではないのだから」と指摘し、「彼らが最善を尽くしてきたことは分かっており、われわれはそれを常に支援してきた」と述べた。

 世界各国に対しては、五輪での団結の精神をもって新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)収束を目指すよう要請。開会式前に都内で開かれたIOC総会で自身が行った演説は、五輪という大きな舞台を利用してメッセージを発信するためだったと説明し、マスクをした聖火ランナーの姿はこのパンデミックを後世に伝え続けるものとなるとの見解を示した。

 WHOで緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン(Michael Ryan)氏は、運営者らとIOCが五輪開催に当たり、厳しい監視態勢や各国代表団の定期的な検査、隔離態勢の整備といった包括的リスク管理策を講じたと指摘。「このパンデミックの真の原因は五輪にはなく、ワクチンの配布と提供での深刻な不平等に関係している」と主張した。(c)AFP