【7月30日 AFP】新型コロナウイルスの感染が拡大しているマレーシアでは、厳しい外出制限下で料理宅配サービスの人気が高まっている。だが、テークアウト販売の料理を引き取るために180キロ離れた町までヘリコプターを飛ばした人が現れ、批判が噴出した。

 警察は、首都クアラルンプールから北部イポー(Ipoh)に飛んだヘリコプターが、ご当地名物の「ナシガンジャ」と呼ばれる料理36人前を引き取ってクアラルンプールにとんぼ返りした件について、感染防止対策違反の疑いで捜査を進めている。

 ナシガンジャは、米飯の上に魚や肉、野菜を乗せ、カレーソースをかけた料理。食べたら病みつきになるといわれ、「ガンジャ(大麻)」の名を冠するが、麻薬成分は全く入っていない。

 マレーシアでは、感染拡大を受けてロックダウン(都市封鎖)が導入され、市民はほとんど家から出ることができずにいる。特段の事情がない限り、州をまたぐ移動も禁止されている。こうした中、イポーの有名店に注文したナシガンジャを引き取るため緑地に着陸する赤いヘリコプターの画像がインターネット上に出回り、ソーシャルメディアで炎上した。

 ツイッター(Twitter)には、「葬儀への参列や危篤の家族への面会ですら、移動の許可を得るには十分な理由ではないとされて帰郷できない人たちがいるのに」という投稿があった。

 警察によると、問題のヘリコプターはクアラルンプール市外へ飛行する許可を取得していたものの、認められていたのは整備のための移動だけで、テークアウトの引き取りは対象外だった。

 料理を注文した客の身元は明らかになっていないが、ヘリコプターの所有者は現地メディアのフリー・マレーシア・トゥデー(Free Malaysia Today)に「書類は全てそろっていた」と主張。「(料理の)引き取りもあっという間に終わった」として、一風変わった料理宅配の正当性を擁護した。(c)AFP