【7月29日 AFP】ドイツの検察当局は29日、内戦下のシリアで拘束された人々を拷問したとして、現在ドイツに暮らすシリア人医師を「人道に対する罪」と1件の殺人罪で起訴した。ドイツでは、シリア国内での人権侵害を訴追する動きが進んでいる。

 被告は2015年半ばにシリアを出国し、ドイツに移住。ドイツでも医師として働いていた。

 被告は昨年6月19日、2011年にシリア・ホムス(Homs)の拘禁施設で収容者を拷問した2件の容疑で逮捕された。その後、殺人1件と拷問18件の容疑で再逮捕された。

 被告は2011~12年に軍病院の医師としてホムスと首都ダマスカスで勤務していた際、10代の収容者の性器に火を付けるなど、数々の恐ろしい虐待を行ったとされる。

 ドイツはシリアで内戦が始まって以降、70万人以上の難民を受け入れている。

 ドイツの裁判所は今年2月、シリア・ドゥーマ(Duma)でデモ参加者少なくとも30人を拘束し、ダマスカスの収容所へ移送して拷問をほう助したとして、シリア情報機関の元職員の男(44)に対し、人道に対する罪の共犯で禁錮4年6月の有罪判決を下した。これは、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権下で行われた国家ぐるみの拷問をめぐる世界初の裁判だった。(c)AFP