■マスコットが与えてくれる癒やし

 大平長子(Choko Ohira)氏(62)は、17年前に東京都多摩市で着ぐるみアクターの養成スクールを立ち上げて以来、愛くるしいキャラクターの演じ方を指導している。

「キャラクターがいると、お客さんが来る。その力というか、魅力で」と大平氏は話す。子供たちがにこにこしながら近づいて来て、握手したりハグしたりするという。大平氏は長年、NHKの子供番組「おかあさんといっしょ」の中の劇「にこにこぷん」でポロリ役を演じていた。

 とっぴなマスコットたちのパフォーマンスは、時に息苦しい社会で和みの時間を提供している。

「着ぐるみだと、抱き付いたり握手したりできる。やってもいいんだっていう感じ。誰も文句言わない」と大平氏は説明した。

 大平氏のスクールでレッスンを受けている元保育士の女性(61)は、着ぐるみの中に入ると「違った自分」を発見すると話す。

「着ると、すごくフレンドリーになれたり、相手に積極的になれたり」と付け加えた。

 着ぐるみアクターは楽な仕事ではない。大きな利益につなげられるのは、一握りのマスコットだけだ。おまけに、着ぐるみは重く、視界も狭く、日本の盛夏では耐え難い暑さになる。

 だがどれほど大変でも、喜びはそれ以上だと女性は語った。

 一方、ふなっしーは、ファンから安心して悩みを打ち明けられる相手として見られることが多い、と話す。

「仕事と家庭の悩み。気に入らない上司と仲良くなれるのかとか、夫が洗濯物をちゃんと籠に入れてくれないとか」

「自分を理解してくれる人を探しているんではないかなっていう気がしましたなっしーな。こんなに頑張ってるのに褒めてくれない。そういうのをキャラクターとか、ふなっしーに求めてるのかな」と言う。

 女性会社員(33)は、マスコットが「癒やし」を与えてくれると話した。「普段仕事をしていると、殺伐としていて」

 しかし、愉快なマスコットを見ると、「さっきのことは忘れようって感じを与えてくれるのがいい」と続けた。(c)AFP/Natsuko FUKUE