【7月29日 AFP】カナダ北西部で発見された化石化した構造体が、8億9000万年前の海に生息していた海綿動物である可能性を示す研究論文が28日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。これまで知られている中で地球上最古の動物となる可能性がある。

 動物は地球の海洋と大気中に酸素が大量に放出された後に初めて発生したとする説が長年支持されているが、今回の結果はこの説に異を唱えるものだ。

 海綿は原始的で単純な動物で、現生する海綿類から得られた遺伝学的証拠により、10億~5億年前に出現した可能性が高いことが明らかになっている。だが「新原生代」として知られるこの時代からはこれまで、海綿動物の体の化石による証拠は得られていなかった。

 今回、カナダ・ローレンシャン大学(Laurentian University)ハークウェイル地球科学院(Harquail School of Earth Sciences)のエリザベス・ターナー(Elizabeth Turner)教授は、炭酸カルシウムを沈殿させるバクテリアの一種によって形成された8億9000万年前の生物礁で、海綿の証拠を探す調査を実施した。

 ターナー教授は、方解石の結晶を内包した微小な管状構造体の網状組織を発見した。これは管状構造体が、生物礁と同時期に発生したことを示唆していた。この構造体は現生する海綿類の一部の体内に見られる繊維状の骨格に酷似していた。

 発見された構造体が海綿の標本であることが立証されれば、これまで最古とされている海綿化石よりも3億5000万年古いことになる。(c)AFP/Patrick GALEY