【7月31日 AFP】エジプト観光・考古省はこのほど、地中海に沈んだ古代の大都市ヘラクレイオン(Heracleion)の遺跡から極めて珍しい軍用船の残骸とギリシャの葬祭殿の遺物が発見されたと発表した。

 遺物が発掘されたヘラクレイオンはトロニス(Thonis)、またはトロニス・ヘラクレイオン(Thonis-Heracleion)とも呼ばれ、地中海に流れ込むナイル川(Nile River)の河口付近に位置していた。紀元前331年にアレクサンダー大王(Alexander the Great)が港湾都市アレクサンドリア(Alexandria)を建設するまでは、この地域ではエジプト最大の港だったと長年考えられていた。ヘラクレイオンは度重なる地震と津波によって海底に沈み、2001年に発見された。

 考古省は今月19日、プトレマイオス朝(紀元前300年ごろ~前30年)時代の軍用船の残骸と、紀元前4世紀のギリシャの葬祭殿の遺物がヘラクレイオンから見つかったと発表した。プロジェクトは同国とフランスの合同で行われている。

 予備調査によると、見つかったのは大型のオールとマストを備えた平底の帆船で、全長25メートル。ナイル川デルタ(Nile Delta)を頻繁に航行していた軍用船とみられている。

 調査では、古代エジプト末期におけるギリシャ商人の影響力を示す葬祭施設も見つかった。

 考古省によると、当時この地を支配していたギリシャ人は、エジプトの神アメン(Amun)を祭った神殿の周辺に複数の葬祭殿を建設していた。

 同省は、今回の発見について「地中海に沈んだこの都市における神殿の充実ぶり」を裏付けるものとしている。(c)AFP