【7月28日 AFP】堀米雄斗(Yuto Horigome)が五輪スケートボードの初代王者に輝いたことで、日本のスケーターたちはこのスポーツに対する自国の厳しい態度が変化することを願っている。

 22歳の堀米は25日、東京五輪の男子ストリート決勝で金メダルを獲得した。

 だが、堀米が腕を磨いた五輪会場近くの公園では今、スケートボードが禁止されている。小さいころに父親に連れられ、グラインドやオーリー、キックフリップなどを覚えた場所だ。

 堀米の勝利に日本のメディアは沸き立った。菅義偉(Yoshihide Suga)首相は「見事な技の数々で世界を魅了してくれた」と絶賛した。

 しかし東京の10代のスケーターたちは、AFPとのインタビューで、練習ができるスケートパークが少ないことと、多くの場合ボードを持ち込むのさえ禁じられていることに不満を述べた。

 立て続けに大技を決めて優勝候補ナイジャ・ヒューストン(Nyjah Huston、米国)を破った後、地元について聞かれた堀米は、大島小松川公園(Ojima Komatsugawa Park)での思い出を語った。しかし、同公園では今、スケートボードが禁止されている。

 堀米の優勝の後、スケートボードを抱えて同公園に来た16歳の男子高校生は「練習しに来ました。あの優勝を見てやる気に火が付きました」とAFPに語った。「同じ地元として本当に誇りに思います。難しいとは思いますが、彼のようなスケートができるようになりたいです」

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、現在閉鎖中の駒沢オリンピック公園のスケートパークの外でAFPの取材を受けた男性(19)は、堀米の金メダルがきっかけとなり、スケートボードに対する国内の厳しい見方が和らげばと期待する。

 男性は、特に同パークでは苦情などを受けた警備員から「やめてくれ」と言われることがあると明かし、日本にはスケートボード専用のパークが少なすぎると嘆いた。

 別の19歳の男性も、堀米の快挙をきっかけに「もっとスケボーに目を向けてもらえたらいいな」と同様の期待を込める。スケートボードは危険だとして、多くの場所で禁止されている現状が変わり、スケートパークが増えてほしいと語った。

 堀米の快挙は、日本の未来のスケーターたちを力づけているに違いない。

 母親が見守る中、駒沢公園のスケートパークの外で弟と練習していた14歳の少女は、堀米の勝利は「すごい」と感嘆し、「最近(スケートボードを)始めましたが、もっと頑張りたくなりました」と話した。

 堀米が優勝した翌日の女子ストリート決勝では、13歳の西矢椛(Momiji Nishiya)が金メダル、16歳の中山楓奈(Funa Nakayama)が銅メダルを獲得している。(c)AFP/Antoine BOUTHIER, Shingo ITO