【7月29日 Xinhua News】中国山西省(Shanxi)太原市(Taiyuan)の天竜山石窟から盗まれ、約100年間海外に流出していた仏頭が故郷に戻った。天竜山石窟博物館が24日、特別展「復興道中 国宝帰郷」を開き、この仏頭「天竜山石窟第8窟北壁主尊仏首」を公開した。同石窟から海外へ流出した多くの文化財のうち、「帰郷」を果たしたのは今回が初めて。

 天竜山石窟は同市西山にある。北朝東魏時代に開削が始まり、北斉、隋、唐など各時代に造営が進んだ。洞窟25カ所、仏像500余体が現存しており、全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財に相当)に指定されている。

 同石窟は1920年代、大規模な盗掘に遭った。仏像240体以上が盗まれ、うち150体余りが海外の博物館や個人のコレクションになるという国内の石窟寺院で最も悲惨な被害を受けた。

 第8窟は唯一の隋代石窟で、1400年余りの歴史がある。精美な彫刻は、なまめかしく豊満な体つきの唐代スタイルの先駆けとなった。

 国家文物局は2020年9月14日、同仏頭が日本の東瀛国際オークションに出品されるとの情報をつかみ、直ちに競売会社に連絡し競売を撤回させた。その後、同局の働き掛けにより在日華人で競売商の張栄(Zhang Rong)氏が日本の所有者と交渉して買い入れ、中国政府に無償で寄贈した。仏頭は2020年12月12日、北京に到着した。

 張氏は、仏頭の寄贈が自身の人生で一里塚的意義を持つと強調。今回の寄贈を通じ、多くの人が文化財帰国事業に参加するよう促したいと述べた。

 国家文物局の李群(Li Qun)局長は、石窟寺院からの流出物を含め、中国政府が過去に盗難に遭った文化財と不法に輸出された文化財の返還請求権を留保していると説明。第14次5カ年規画(2021~25年)期間に資源調査や法律整備、能力建設などの作業を段階的に進め、可能かつ必要なあらゆるルートを通じ、より多くの文化財の返還請求を促し成功させると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News