【7月28日 AFP】28日に行われた東京五輪、競泳女子200メートル個人メドレー決勝で金メダルを獲得した大橋悠依(Yui Ohashi)が、「夢みたい」と日本競泳女子初となる400メートル個人メドレーとの2冠を達成した喜びを語った。

 200メートル個人メドレーの決勝で、大橋は最後の自由形を力強く泳ぎ切って2分8秒52を記録。2分8秒65のアレックス・ウォルシュ(Alex Walsh)、2分9秒04のケート・ダグラス(Kate Douglass)の米国勢に競り勝って金メダルを獲得した。大橋は25日の400メートル個人メドレーでも優勝しており、個人種目2冠は日本勢の競泳女子選手としては初の快挙となった。

 大橋はレース後、「これは厳しいかもしれないなと思っていた」と明かしつつ、「勝っても負けても全力を出し切ったと言えるように、勝負をかけて最後はノーブレ(息継ぎ無し)にした。それがよかったかなと思う」とコメントした。

 五輪を迎えるにあたって、大橋の前評判は世界的にはそこまで高かったわけではない。それでも自分を強く信じることができたのは、引退も頭をよぎるような2度のキャリアの危機を乗り越えてきた経験があるからだった。

 1度目は極度の疲労感に悩まされ、後に貧血と診断された2015年で、このときは食事とトレーニングを見直すことで症状を克服した。そして2度目は、世界水泳(18th FINA World Championships)の400メートル個人メドレーで3位に終わった2019年で、このときは自分のピークが過ぎ去ったように思え、不安と気持ちの落ち込みに苦しんだという。

 こういった問題は、体操女子のシモーネ・バイルス(Simone Biles、米国)がメンタルヘルスを理由に団体と個人総合を棄権したことで、今回の五輪でも大きな注目を集めている。テニス女子の大坂なおみ(Naomi Osaka)も、今大会がうつ状態による休養からの復帰戦だった。

 しかし大橋は、両親やコーチの助けも得ながら自信を取り戻し、東京五輪では自身の精神的な成長を実感できているという。

 水泳をやめようと思った時期もありながら、それを受け入れて力に変えた大橋は「(女子で史上初の2冠は)実感がない。すごくうれしい」と話した。(c)AFP/Neil SANDS