【7月30日 AFP】開催中の東京五輪は会場での応援もままならないが、都内のある体育館では、平均年齢71歳のチアリーダーらが今日も練習に精を出している。

 米ポップ歌手テイラー・スウィフト(Taylor Swift)さんの「シェイク・イット・オフ(Shake It Off)」のビートに合わせ、滝野文恵(Fumie Takino)さん(89)がポンポンを振りながら手を回すと、仲間のメンバーがY字バランスのポーズを決める。

 皆、楽しいからやりたいという気持ちを一番に「足が痛かったり、腰が痛かったりしても頑張っている」と語る滝野さんは、64歳の時にシニアチアリーディングチーム「ジャパンポンポン(Japan Pom Pom)」を立ち上げた。

 チームには厳しい入会審査がある。年齢は55歳以上、オーディションと3か月のトライアルに合格しなければならない。また「自称、容姿端麗」であることも求められる。

 現在取り組んでいるのは、新型コロナウイルス流行の影響で来年に延期となった創立25周年記念公演のリハーサルだ。

 最初はシニアチアリーディングの魅力を理解してもらえなかったと滝野さん。チームを立ち上げたときは、周りの反応があまり良くなかったと言う。「だから、私たちもチアをやってると言えなくて、ちょっと運動みたいなことしてるっていう感じで。入ってくる人もいなくて、だいぶ苦労しました」と言う。

 ミニスカートの派手な衣装も受けが悪かった。老人クラブの催しなどで演技を披露しても「あまり受けない。まず衣装。足を何で出すのかって。(それが)ちょっと良くないみたいで」

 だがチームの活動が知られ、地元メディアの注目を引くようになるにつれて、周りの目も変わり始めた。

 滝野さんは社会が変わったと感じている。「たくさん他にもグループができたっていうこともあるし、テレビなんかでも皆さん、だんだん見慣れてきて。不愉快かもしれないけども、ああいう人たちもいるんだって、だいぶ市民権を得てきたんじゃないかなと思っています」

 ジャパンポンポンのメンバーにとって、楽しみながら健康を維持できるのがチアリーディングだ。毎週1回、メンバーが集まる練習は2時間。休憩はほとんどない。

 ある73歳のメンバーはチアリーディングを続ける理由について「ひとつは健康のためと、やっぱり生きがいですよね。普段の生活にちょっと変わったもの入れるっていうのが楽しい」と語った。(c)AFP