【7月27日 AFP】オーストラリア競泳代表のコーチが27日、東京五輪で金メダル獲得の喜びのあまりマスクを引き剥がし、新型コロナウイルス対策の厳格な規則を破ったことを謝罪した。同コーチが喜びを爆発させる動画はインターネット上で拡散され話題を呼んだ。

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 ディーン・ボクソール(Dean Boxall)氏は、26日の女子400メートル自由形でアリアン・ティットマス(Ariarne Titmus)が最大のライバル、ケイティ・レデッキー(Katie Ledecky、米国)を破ると狂喜乱舞した。

 レース後、歓喜の雄たけびを上げて長髪を振り乱したボクソール氏は、宙を蹴って拳を振り下ろし、最後は透明の柵を腰で突き上げた。

 またボクソール氏は、顔を覆っていたマスクを引き剥がすと、東京アクアティクスセンター(Tokyo Aquatics Centre)の無観客のスタンドにそれを投げつけんばかりの勢いで喜び、その近くでは大会ボランティアが不安そうに右往左往していた。

 その姿を1990年代に活躍し、リングロープを揺らす派手なパフォーマンスで有名な米国のプロレスラー「アルティメット・ウォリアー(Ultimate Warrior)」に例えられるなど、ボクソール氏はインターネット上で一躍人気となった。

 しかし本人は、緊急事態宣言下にある東京で大会を安全にとり行うための新型コロナウイルスのプロトコルを破ったのは度を過ぎていたと反省した。

 豪テレビ、セブン・ネットワーク(Seven Network)で「謝罪をする必要がある。マスクを引き剥がして破ったのだから」と話したボクソール氏は、「あの瞬間はわれを失っていた」と弁明した。

 ティットマスと6年間苦楽を共にしてきたというボクソール氏は、偉大なレデッキーを倒すための計画を「完璧に実行」する姿を見て自制心をなくしたと話した。「感情があふれ出した。それは予選で蓄積され、レースを見たときは正気を維持することはできなかった」

 また、ボクソール氏は豪メディアに対し、「自分自身が体から出て行ったのだと思う」と話している。(c)AFP