系外惑星の周囲に「衛星形成」円盤 約400光年先の恒星系で初確認
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【7月27日 AFP】太陽系外惑星を取り巻く円環状のガスや塵(ちり)を初めて明確に観測できたとする研究結果が先週、発表された。観測は、惑星や衛星が形成される仕組みを解明する助けになる可能性があるという。
この「周惑星円盤」は、太陽系から約400光年の距離にある恒星「PDS 70」を公転する系外惑星「PDS 70c」を取り囲んでいる。PDS 70cはこの恒星系にある、木星ほどの大きさと質量を持つ二つの巨大ガス惑星の一つだ。
系外惑星PDS 70cは、2019年に欧州南天天文台(ESO)の天文学者らが南米チリにある超大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)を用いた観測で初めて確認した。
英学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)」に掲載された論文によると、今回の研究では、2019年のVLTによる観測データと、同じくチリにある巨大電波望遠鏡「アルマ(ALMA)」で得られた高分解能の画像を組み合わせた結果、PDS 70cの円盤には惑星の周囲に複数の衛星を形成できるだけの物質が保持されているとの結論に至った。
2006年に行われた観測では、若い恒星系の主星であるPDS 70が非常に大きなリング状の物質に取り囲まれているのが明らかになっていたが、観測機器能力の限界により、主星とリングの間の惑星については、その存在が推測されるにとどまっていた。
PDS 70は、誕生してからまだ540万年しかたっておらず、同46億年の太陽と比べると、まだ生まれたばかりのひよこ同然だ。
論文の共同執筆者で、2018年にもう一つの惑星「PDS 70b」を発見した独マックス・プランク研究所(Max Planck Institute)のミリアム・ケップラー(Miriam Keppler)氏は、「系外惑星はこれまで4000個以上見つかっているが、そのすべては成熟した恒星系で検出されている」と説明。「これまでに見つかった系外惑星の中で、いまだ形成過程にあるのはPDS 70bとPDS 70cのみ」と続けた。
PDS 70bとPDS 70cが形成する惑星系については「木星と土星を連想させる」としている。
PDS 70cの周囲には、地球の衛星である月を3回形成するのに十分な物質があるという。PDS 70cよりはるかに古い惑星の木星には、4個の大きな衛星と数十に及ぶより小型の衛星がある。(c)AFP/Pierre CELERIER