【7月26日 AFP】ギリシャの海洋公園内の島で、サイクロン襲来を生き延びて島民のマスコットとして愛されていた絶滅危惧種の若いアザラシ1頭が殺され、騒ぎとなっている。

 殺されたのは、雄のチチュウカイモンクアザラシ「コスティス(Kostis)」。2018年に、サイクロン「ゾルバス(Zorbas)」がエーゲ海(Aegean Sea)一帯に襲来した際、漁師に助けられ、この漁師にちなんで名付けられた。

 チチュウカイモンクアザラシの保護活動を行っているNGO「MOm」は24日、エーゲ海に浮かぶアロニソス(Alonissos)島沖でコスティスが「故意に殺された」と明らかにした。この島は、ギリシャ初の海洋生物保護区「アロニソス・北スポラデス国立海上公園(National Marine Park of Alonissos and Northern Sporades)」の中にある。

 MOmはフェイスブック(Facebook)への投稿で、「無垢(むく)で危険を知らないアザラシが、近距離から水中銃で(撃たれて)殺された。まさしく殺すための大きな銛(もり)の付いた水中銃によってだ」と告発した。

 MOmによると、チチュウカイモンクアザラシは絶滅の危機にあり、現存する個体のほぼ半数がギリシャに生息している。

 コスティスは漁師に助けられた後、MOmによって保護され、施設で治療を受けてからエーゲ海の元の生息地に返された。だが、コスティスは非常に人懐こく、アロニソス島の港に停泊する船の上に横たわる姿が頻繁に目撃され、カメラの被写体としても人気だった。

 コスティスの死は騒ぎとなり、ソーシャルメディアでも大きな話題を集めている。フェイスブックには、「私たちはこの惑星にふさわしくない。私たちは、あらゆる美しいものを害している」という投稿もあった。

 アテネ通信社(ANA)は、犯人の捜索が行われていると伝えている。(c)AFP