【7月26日 AFP】フランス議会は25日、新型コロナウイルスのワクチン接種を完了しているか検査で陰性だったことを証明する「衛生パス」の提示を日常生活の随所で義務付ける法案を可決した。成立には、法律の違憲審査を行う憲法会議(Constitutional Council)の承認が必要となる。

 衛生パスの導入をめぐっては「自由の侵害」だとして一部で激しい反発が起きており、24日にも全国で16万人以上が参加する大規模なデモが行われた。内務省によると、この日のデモでは71人が逮捕された。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は先週、政令(デクレ)により、映画館や美術館、ナイトクラブなどの施設利用の際や、50人以上が集まる場所やイベントでの衛生パス提示を義務付けた。

 今回の法案ではこれに加えて、8月から航空便や都市間鉄道、カフェやレストランの利用時にも、衛生パスの提示を義務化。また、医療・介護従事者にはワクチン接種を義務付ける。

 変異株が猛威を振るう中、マクロン氏はワクチン接種を新型コロナ対策の最大の武器と位置付けようとしている。一連の施策は事実上、日常生活を支障なく送りたければワクチンを接種するよう市民に要求するものだ。

 仏議会は、下院に当たる国民議会は親マクロン派が過半数を占めるが、上院は野党が多数派で、20日から長時間の審議が続いていた。上院では、より市民の自由に配慮した法案になるようさまざまな修正が加えられた。

 議会関係者によると、与野党の妥協により、11月15日以降も衛生パスの提示義務付けを継続するには議会での採決が必要となった。また、警察の役割が制限されたほか、医療・介護従事者がワクチン接種を拒否した場合もすぐさま解雇せず、給与の支給停止処分とすることを明確化した。(c)AFP/Stuart WILLIAMS