中国が「マラリア撲滅国」に認定 紀元前からの闘いに終止符
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【7月27日 東方新報】中国が世界保健機関(WHO)から「マラリア撲滅国」に認められた。2017年から国内の発生患者がゼロで、3年続けて発生がないというWHOの要件を満たして6月30日に認定を受けた。紀元前から記録が残る長い「マラリアとの闘い」に終止符を打った。
マラリア撲滅国の認定は西太平洋地域では30年以上ぶりで、オーストラリア(1981年)、シンガポール(82年)、ブルネイ(87年)に次いで4か国目となる。
マラリアの歴史は人類より古い。3000万年前の琥珀(こはく)の化石に閉じ込められた蚊からマラリア原虫が見つかっている。中国では戦国時代(紀元前403~221年)に書かれた儒教の経典「礼記」に「瘧疾(マラリア)が民の間で広がっている」と記されている。同時期に書かれた現存する中国最古の医学書「黄帝内経」には40か所以上にマラリアの記述があり、マラリア治療法をまとめた章もある。中国各王朝の歴史書には「軍の遠征中に多数の兵士がマラリアで死亡した」という記録が多く、三国時代の蜀の宰相・諸葛亮(Zhuge Liang、孔明)は南方遠征で瘴気(マラリアの呼び名の一つ)のまん延防止に腐心しながら軍を進めている。
近代に入ってもマラリアは中国で最も患者数の多い感染症で、1940年代には毎年3000万人の新規患者が発生し、当時の自治体の7~8割でマラリアが流行していた。庶民の多くは窓のない土壁やかやぶきの家に住み、野外で寝ることもあり、蚊の予防や対策についての意識は低かった。その後、蚊の発生場所の除去、殺虫剤の散布、殺虫処理済みの蚊帳の配布など、地道な公共衛生活動を展開。症例を確認したらその日に報告し、3日以内に調査し、7日以内に処置する迅速な「1-3-7方式」により感染拡大を防いできた。1970年代には専門医療チームが抗マラリア成分のアルテミシニンを発見。多くの命を救う抗マラリア薬が開発され、主要発見者の女性医学者・屠呦呦(Tu Youyou)氏は2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は「中国の成功は並々ならぬもので、何十年にもわたる継続的かつ的確な活動のたまものだ」と祝福のメッセージを送っている。
世界ではマラリアを撲滅したと認められているのは40か国・地域にとどまり、2019年には40万人以上がマラリアで死亡している。中国でも海外からの入国者でマラリア感染例は続いている。中国疾病予防管理センターは現在、感染多発地帯のアフリカに若手研究者を派遣している。同センター寄生虫疾患予防管理研究所の周暁農(Zhou Xiaonong)所長は「中国人研究者の抗マラリアのノウハウを継承し、アフリカの人々を助けることは、世界のマラリア撲滅活動につながる」と話している。(c)東方新報/AFPBB News