【7月28日 東方新報】真夏を迎えて酷暑が続く中国南部の都市では、暑さをビジネスに結び付ける「高温経済」が盛んとなっている。

 エアコンや冷却スプレー、冷感寝具といった製品が売れているのは当然として、中国で急速に広がるペット市場も「高温経済」とつながっている。

 湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)のペット用ホテルでは、犬たちがエアコン完備の個室で涼み、骨やひょうたんなどの形をした冷たい食べ物をほおばっている。トリミングやトレーニング、スパサービスもあり、悠々自適に避暑暮らしを楽しんでいる。ホテルのオーナーの彭群凌(Peng Qunling)さんは「飼い主たちはかわいい『うちの子』を暑さから守るため、私たちのサービスを選んでいます。夏場の預かり料金は1万~2万元(約17万~34万円)です」と話す。

 南京市(Nanjing)のペット用品店オーナーの辜宜林(Gu Yilin)さんは「ウサギや猫、ハムスター用のひんやりボードやクールマットがよく売れています。今や中国の多くの家庭でペットは人と同じ暮らしをしているので、暑さ対策グッズも必需品となっています」と説明する。

 食事のデリバリーも「暑さ対策」の一環だ。

 江西省(Jiangxi)九江市(Jiujiang)の繁華街でファストフード店を経営する張さんは「7月に入って晴れた日は毎日、午前10時から2時間ぐらいインターネットや電話での注文が止まらなくなるよ。通常の倍以上の注文だ」とうれしい悲鳴を上げる。30度を超える暑さが続き、外出を避ける市民が飲食店に宅配サービスを依頼。日差しが強い九江市の街角では、デリバリーの電動スクーターばかりが走っている。

 中国では新型コロナウイルスが拡大し「ステイホーム」を余儀なくされた昨年、オンライン注文による食事の宅配サービスが爆発的に広がった。コロナ禍をおおむね抑制した現在もその習慣は定着化し、「暑い時期に外出したくない」とデリバリーを頼む市民が増えている。中国では生鮮スーパー店もオンライン注文で配達するのが当たり前となっており、各店舗は天気予報をチェックしながら猛暑日の配達を見込んで商品の仕入れをしている。

 広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)柳州市(Liuzhou)では真夏恒例のナイトマーケットが例年以上のにぎわいを見せている。客が姿を見せ始めるのは、暑さがようやく収まってくる午後8時半すぎ。屋台街でビールや中国で人気のザリガニ料理を楽しみ、午後11時ごろに最も盛り上がる。中には午前4時まで開いている店も。今年は各店舗で話し合い、他の店で買った食べ物の持ち込みをOKとする店が増えた。「マーケット全体でもうける」戦略だ。「昼は室内、夜に外出」というスタイルの市民に合わせ、こうしたナイトマーケットが各地で盛り上がりを見せている。連日続く猛暑とともに、高温経済も各地で「ホット」になっている。(c)東方新報/AFPBB News