【7月26日 AFP】それぞれが異なる代表チームの所属選手として東京五輪に出場しているシリア人兄弟の写真が先週、ソーシャルメディアで広く話題を集めた。2人が笑顔で抱き合う様子を捉えた写真だった。

 兄のモハマド・マソ(Mohamad Maso)はトライアスロンのシリア代表選手で、弟のアラー・マソ(Alaa Maso)は、難民選手団代表として競泳に出場する。

 兄弟が抱き合う写真をめぐり、一部メディアとネットユーザーの間では、2人がシリアでの紛争により、長い間離れ離れになっていたという誤った情報が広まった。

 しかし、アレッポ(Aleppo)出身の兄弟は2015年、危険を冒して欧州へと移住し、現在は共にドイツで暮らしている。両親は今もアレッポに残ったままだ。

 シリア・スポーツ連盟のコミュニケーションマネジャーは、「写真に対する反響がここまでになるとは想像もしていませんでした」と話す。

「兄弟はドイツで一緒に暮らしています。東京にも一緒に来ました」

「(抱擁)は兄弟の間で自然に生じたジェスチャーです。一部メディアとネットユーザーが違う方向に持っていってしまったのです」

 なお、弟が難民選手団の代表として大会に出場しているのは本人の希望によるもので、シリア代表に選出されなかったためではなかったという。(c)AFP