【7月26日 AFP】都内では東京五輪のかわいらしい公式マスコットをあちこちで目にするが、彼らの世界にも競争がある。「ハローキティ(Hello Kitty)」や「ポケットモンスター(ポケモン、Pokemon)」を生んだマスコット大国・日本では、刑務所から健康診断まで、さまざまな組織や活動のPRをマスコットキャラクターが担っている。

 中には、抜群の知名度を誇るマスコットもいる。

 熱狂的な人気を集める「梨の妖精」こと「ふなっしー(Funassyi)」は、梨の名産地、千葉県船橋市の非公認キャラとして10年ほど前に一躍有名になった。

 ふなっしーは、性別はなく、ハイテンションな動きとひょうきんなところが特徴で、オジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)や「エアロスミス(Aerosmith)」などのハードロックやヘビーメタル好きでも知られる。ツイッター(Twitter)のフォロワー数はおよそ140万人。街を歩くだけでファンが群がる。

 日本でマスコットが大人からも愛されるのは「あまりに普通過ぎて、深く考えない」と、ふなっしーはAFPとのインタビューで語った。「友達みたいな感覚じゃないかなって思うなっしーな」

 日本人のマスコット好きを、無生物に魂が宿るアニミズムの考え方と結び付ける見方をする専門家がいる中、ふなっしーも、日本人は「すぐ何でも擬人化する」と指摘した。

 マスコットが莫大(ばくだい)な収益を生み出すケースもある。

 例えば、熊本県をPRするマスコットキャラクター、「くまモン(Kumamon)」。地元企業・団体による関連グッズの昨年の売上高は、約1700億円に上った。

 ふなっしーは、自身のグッズの売上高を明らかにしなかったが、船橋市にあるグッズショップ「ふなっしーLAND(Funassyi Land)」に足を運ぶファンは後を絶たない。

 五輪でマスコットがつくられるようになったのは、1972年ミュンヘン五輪から。ダックスフントの「バルディ(Waldi)」が、公式五輪マスコットの第1号となった。

 これ以降、各開催国は、五輪の価値観と文化的遺産を象徴するマスコットを独自につくり上げてきた。東京五輪のマスコットは、未来的な「ミライトワ(Miraitowa)」。紺と白の市松模様、漫画のキャラクターに多い大きな目、とがった耳が特徴だ。