【7月24日 AFP】カリブ海(Caribbean Sea)の島国ハイチで23日、暗殺されたジョブネル・モイーズ(Jovenel Moise)大統領の国葬が行われた。厳戒態勢が敷かれたにもかかわらず、会場外から銃声が聞こえ、不安定な治安情勢が浮き彫りになった。

 7日未明に首都ポルトープランスの私邸で射殺されたモイーズ氏の遺体は、北部カパイシアン(Cap-Haitien)に埋葬された。

 葬儀は野外で数時間にわたって行われた。ハイチ国旗が掛けられたモイーズ氏のひつぎには大統領綬が載せられ、周りには花が飾られた。軍が警備を担当し、兵士が国歌と大統領のための歌を演奏した。

 ハイチ政府や各国の外交官の代表が一人ずつ、モイーズ氏の妻マルティーヌ(Martine Moise)氏の前で足を止め、お悔やみを述べた。マルティーヌ氏も暗殺事件で重傷を負い、米国で治療を受けていた。

 マルティーヌ氏は片腕をつって固定し、黒い帽子とマスクを身に着けていた。マスクの片側には、モイーズ氏の写真が付いていた。

 マルティーヌ氏は感情を込めた追悼のスピーチで、「これほどの罰を受けるべき罪を何か犯したというのか?」と問い掛け、モイーズ氏は「無残に殺される」まで、ハイチの「腐敗し不公正な」政治を浄化しようとしていたと主張した。

「一夜にして、彼はシステム全体が結集して自分に反対して結集していることに気付いた」と述べる一方、「報復や暴力」は望んでいないと述べた。

 マルティーヌ氏の称賛とは裏腹に、モイーズ氏は人気がなかった。多くの人々は、ハイチがさまざまな問題で進展がなかったとして、モイーズ氏を非難している。

 警察がカパイシアン市街で厳戒態勢を敷いていたにもかかわらず、葬儀中に銃声が鳴り響いて一部の参列者が途中退席するなど、ハイチの不安定な治安情勢を象徴する出来事もあった。(c)AFP/Valerie Baeriswy