【7月24日 AFP】ニュージーランドで岩場に打ち上げられ、保護されていた赤ちゃんシャチが死んだ。自然保護団体が24日、明らかにした。

 先住民マオリ(Maori)の言葉で「戦士」を意味する「トア(Toa)」と名付けられたこの赤ちゃんシャチは、体長2.5メートル未満で、生後4~6か月とみられていた。11日、群れからはぐれて首都ウェリントン近郊の岩場に打ち上げられているところを発見され、大きく報じられた。

 離乳しておらず、母親なしで海で生きていくことはできないため、何百人ものボランティアが24時間態勢で世話をしていた。

 自然保護団体「ホエール・レスキュー(Whale Rescue)」は、海沿いのプリマートン(Plimmerton)地区に造った仮の囲いにトアを入れ、4時間ごとにチューブで授乳する一方、空と海から母親を捜索していた。

 同団体は23日夜、トアの状態が急速に悪化したとソーシャルメディアに投稿。その後、「現場の獣医師が駆けつけたが、救うことはできなかった」と発表した。

 自然保護省の海洋生物部門のマネジャー、イアン・アンガス(Ian Angus)氏は、トアが母親と離れて飼育される期間が長くなるほど、健康状態が悪化する可能性が高くなることは認識していたという。

「トアは、愛に包まれ、可能な限り快適に最後の日々を過ごし、あっという間に旅立った」とアンガス氏は述べた。

「この素晴らしい取り組みにおいて、皆がトアのために最善を尽くしたいという思いで一致していた。群れを見つけて戻すことが、この週末の私たちの目標だった」とアンガス氏は話し、「人々の心をつかんでいたこの子にわずかな望みもないだなんて、皆が信じたくなかった」と述べた。(c)AFP