【7月23日 AFP】卓球女子シリア代表のヘンド・ザザ(Hend Zaza)は5歳で初めてラケットを握り、12歳になった今、東京五輪に今大会最年少の選手として臨むことになった。

 1968年の冬季五輪に11歳で臨んだフィギュアスケート女子のベアトリス・フスティウ(Beatrice Hustiu)の後では、最年少での五輪出場となる。

 東京五輪の出場権を懸けた昨年の西アジアの選考会で、ザザは40代のレバノン人選手を決勝で破り、内戦で分断された母国シリアで一躍有名になった。

 最近までザザを指導していたコーチが「困難な環境で鍛えてきた」と明かす通り、劣悪な練習環境や国外大会参加に必要なビザ(査証)の取得で苦しむなど、五輪までの道のりは険しかったという。

 そうして迎える東京五輪では、計6人いるシリア代表選手団の唯一の女子選手として、母国に通算4個目の五輪メダルをもたらすことを目指す。

「世界王者そして五輪王者になるのを夢見ている」と、AFPの取材で高い志を明かしたザザだが、その一方で、「学業を終えて薬剤師になる」という目標も持っている。

 アマチュアのサッカー選手である父親は、競技のかたわらで学業がおろそかにならないよう、ザザに個別授業を受けさせているそうだ。

 ザザは24日、39歳のジャ・リュウ(Jia Liu、オーストリア)と対戦する女子シングルス予選ラウンドで大会の幕を開ける。(c)AFP/Fayez WEHBE