【7月23日 AFP】東京五輪のテニス男子で金メダルを狙うノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は22日、同一シーズンですべての四大大会(グランドスラム)と五輪を制す「年間ゴールデンスラム」が現実味を帯びる日が訪れるとは思ってもいなかったと語った。

 今季のジョコビッチは全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2021)、全仏オープン(French Open 2021)、そしてウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2021)を制し、1988年に女子のシュティフィ・グラフ(Steffi Graf)氏が達成して以降、誰も成し得ていない歴史的偉業に近づいている。

 この日、セルビア代表選手団の記者会見に臨んだジョコビッチは、「シュティフィという存在と、彼女がキャリアを通じて成し遂げたことやこの競技に刻んだ足跡の全てに、最大限の敬意と称賛の念を抱いている」と語った。

「同じ年にグランドスラムの全4タイトルと五輪金メダルを獲得したという彼女の究極の偉業を考えたとき、それが可能とは思わなかった。達成できると言うつもりはないが、男子でも女子でも、わずかながらも誰かが再び成し遂げるチャンスはある」

 東京五輪の男子シングルスに出場する64選手の中に、長年のライバルであるラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)とロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は入っておらず、ジョコビッチは優勝候補の最有力に挙げられている。

 そうした中でジョコビッチは、「現時点で自分にとってはさらに現実味を帯びてきている。それは一つの目標であり夢であるのはもちろんだが、彼女がプレーしていた時代と今の競技や状況を比較するのは難しい」としつつ、「それでも彼女(グラフ氏)が持っている王者のメンタリティーが、自分に刺激を与えてくれているのは間違いない。今後の目標に向けてそれを生かしたい」と語った。

 ジョコビッチは2008年の北京五輪で銅メダルに輝いたものの、4年後のロンドン五輪では3位決定戦でファン・マルティン・デルポトロ(Juan Martin Del Potro、アルゼンチン)に敗れ、メダルを逃した。

 そして、2016年のリオデジャネイロ五輪では、デルポトロに初戦敗退を喫し、涙ながらにコートを後にした。(c)AFP/Martyn WOOD