【7月22日 AFP】中国中部で記録的な豪雨が発生し、地下鉄が浸水し、堤防や土手が損傷した。土砂崩れや建物の倒壊も起きている。

 中国では毎年大規模な洪水が発生しており、政府は国内各地に設置した巨大なダム・堤防ネットワークを対応策としてアピールしてきた。しかし近年では、豪雨で数百人が死亡、家屋数千棟が水没するなどの被害が出ている。

 なぜ中国は毎年深刻な洪水被害を受けるのか、五つの問題点をまとめた。

■ダムや堤防は機能しているのか?

 中国では以前から、水流を制御したり迂回(うかい)させたりするために、ダムやせき、貯水池に依存してきた。

 中国応急管理部によると、昨年にはアジア最長河川の長江(Yangtze River)の堤防や貯水池で約300億立方メートルの水をせき止め、上海を含む下流域への被害を軽減した。

 だが巨大インフラをもってしても、すべての洪水は食い止められていない。数十年前に建設されたダムや堤防については、耐久性を疑問視する声も出ている。

 長江上流に設けられた世界最大の水力発電ダム、三峡ダム(Three Gorges Dam)の構造上の懸念も絶えない。同ダムは、地下の断層が複雑に入り組んだ場所に位置しているからだ。

■気候変動による影響は?

 気候変動により、極端な気象現象が頻発するようになると、中国のダムにかかる負荷がさらに増す可能性が高い。

 今週豪雨に見舞われた河南(Henan)省鄭州(Zhengzhou)市では、3日間で平年の1年分の降水量に相当する雨が降ったとされる。

■「スポンジシティー」の効果は?

 中国の急速な発展と都市化も、洪水被害の悪化を招いてきた。都市化に伴い、より多くの土地が不透水性のコンクリートで覆われ、豪雨の際に地面に水が急速にたまるリスクが高まった。

 政府が提示した解決策の一つが、2014年に始まった「海綿城市(スポンジシティー)」計画だ。

 都会の不透水性の地面を、透水性舗装材など多孔質材で置き換え、緑化を進め、排水溝や貯水池を増設することにより、地面に水がたまるのを防ぐとしている。