■洪水による最大の被害者は?

 しかし、迂回流の通り道に位置し、洪水によってすでに家屋や作物に甚大な被害を受けてきた地方部の集落にとっては、スポンジシティー化のメリットは少ないとみられる。

 人口密度の高い都市への被害を防ぐため、複数の村で全体が洪水の犠牲となることも多く、そのたびに村民は避難を余儀なくされてきた。

 国営新華社(Xinhua)通信は、鄭州市周辺の農地ではここ数日で、約2万ヘクタール分の農作物が被害を受け、直接的な経済損失は12億円を上回ると伝えている。

■他に講じられる対策は?

 中国は洪水による人的被害の抑制策として、洪水の監視強化と早期避難に取り組んでいる。

 応急管理部の発表によると、昨年6~8月の洪水による死者・行方不明者は219人で、その前の5年間の年間平均に比べると半数以下だった。しかし経済損失は15%増加し、1790億元(約3兆円)に上った。

 シンガポール国立大学(NUS)で水政策を研究するセシリア・トルタハーダ(Cecilia Tortajada)氏は、洪水を予防するには、究極的には気候変動に対する世界規模の行動も必要になるとの見方を示し、「国ごとの備えは進んでも、世界全体としての備えはできていない」と指摘している。(c)AFP/Jing Xuan TENG