【7月25日 AFP】大気汚染で悪名が高いインドの首都ニューデリーで、大型の送風機40台を備えた高さ25メートルの巨大空気清浄設備「スモッグタワー」を建設し、中心部にある高級ショッピング街に向けてきれいな空気を送り込む計画が進んでいる。

 ただ、総額200万ドル(約2億2000万円)の設備をめぐっては、世界有数の大気汚染都市では役立たずだと疑う声も強い。

 スモッグタワーは、おしゃれな店やカフェが立ち並ぶコンノート・プレース(Connaught Place)の半径1キロの空気をろ過するための設備だ。英植民地時代の建物が立ち並ぶコンノート・プレースは、毎年冬になると黄灰色のスモッグに覆われる。

 プロジェクトの責任者は、スモッグタワーの設置目的について、人体に有害な微小粒子状物質(PM2.5)を大気中から最大50%取り除くことだと説明。ニューデリー全域の大気を浄化するのではなく、特定の地域について市民が呼吸をしやすい環境をつくり出すのが狙いだと語った。8月15日のインド独立記念日までに工事を終えたいとしている。

 ニューデリー市当局は、この実験で効果が確認できれば、さらに多くのスモッグタワーを建設する方針だ。

 専門家らは、スモッグタワーの効果を否定してはいないが、車の排ガスや建設現場の粉じん、工場からのばい煙や野焼きなどが原因で発生し、人口2000万人超のニューデリーを容赦なくのみ込むスモッグに対しては、わずかな風穴を開けることにしかならないだろうと指摘している。

 中国では、ひどい大気汚染で知られる都市・西安(Xian)に高さ60メートルのスモッグタワーが建設されたが、この手法は他の都市には広まっていない。(c)AFP