【7月21日 AFP】南アフリカ政府は20日、ジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)前大統領の収監をきっかけに発生した大規模な暴動で、店舗や事業所などの略奪や放火、破壊行為の被害が4万件に上ったと明らかにした。

 南東部クワズールー・ナタール(KwaZulu-Natal)州では9日以降、多数の商業施設や倉庫が略奪された。

 暴動は経済の中心地ヨハネスブルクにも広がり、新型コロナウイルスの流行で既に疲弊した経済に深刻な打撃を与えた。

 クムブゾ・ヌチャベニ(Khumbudzo Ntshavheni)中小企業開発相は記者団に、クワズールー・ナタール州で「事業に4万件の被害があった」と話した。

 政府の発表によると、国全体の損失額は推定500億ランド(約3760億円)に上る。

 ヌチャベニ氏は、クワズールー・ナタール州では161の商店街と同数程度の酒販売店・卸業者が「甚大な被害を受けた」と述べた。

 また、同州では200軒以上の商業施設と100の商店街で略奪や放火があり、少なくとも1400台以上のATM(現金自動預払機)、300の銀行と郵便局、90軒の薬局が破壊された。

 シリル・ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は20日、経済界のリーダーに対し、「暴力行為の影響を免れた業界は事実上ない」と語った。

 ヌチャベニ氏によると、ヨハネスブルクがあるハウテン(Gauteng)州については、現在、被害状況を確認中だという。

 南アでは人口が最も多いハウテン州と2番目に多いクワズールー・ナタール州が、国内総生産(GDP)の半分を占めている。

 暴動では215人が死亡したとされている。(c)AFP