字幕:ビデオグラフィック「ドーピングの技術」
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【7月23日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)はスポーツ界における薬物対策の最前線にいる。
基本的なルールや手続きを定め、選手のドーピング検査を実施。禁止物質リストを定期的に更新する。
アナボリックステロイド(筋肉増強剤)などは常時禁止されているが、大会期間中や特定の競技に限定して禁止されるものもある。
例えば、ベータ遮断薬はアーチェリーと射撃で禁止されている。心拍数が抑えられ、手の震えが落ち着くからだ。
血液ドーピングはパフォーマンスや持久力を向上させる、最も効果的な違反行為の一つ。特に自転車競技のプロ選手の間で多くみられる。
赤血球の産生促進作用があるエリスロポエチン(EPO)や人工酸素運搬体の投与の他、輸血により酸素を運ぶ血液中のヘモグロビン値を高めることができる。
赤血球が増えると筋肉に届く酸素が増え、スタミナとパフォーマンスが上がる。
EPOと人工酸素運搬体は検出できるが、自己血輸血などの一部の輸血は発見がより難しい。
ドーピング検査には総ヘモグロビン量の測定の他、輸血用血液バッグから血液中に溶出する可塑剤の有無を調べる方法などがある。
ドーピングの手口はますます高度化しており、発見のカギとなるのがアスリート生体パスポート(ABP)だ。
シーズンを通して選手を監視し、心拍リズムや体脂肪率、血液や尿の成分などを定期的に検査する。
許容限度を超える異常な生物学的変化があれば、選手の体内に禁止物質がある疑いが深まる。
もっとも、この方法も完璧ではない。少量のEPO、テストステロン、インスリンなどを繰り返し投与するマイクロドージングという手法は、生体パスポートで見つけられないこともある。(c)AFP