【7月21日 AFP】韓国人登山家キム・ホンビン(Kim Hong-bin)氏が20日、パキスタン北部カラコルム(Karakoram)山脈のブロードピーク(Broad Peak、8051メートル)を下山中に滑落し、死亡した恐れがあると、パキスタン政府高官が明らかにした。キム氏は障害者として初めて、世界の8000メートル峰14座すべての登頂に成功したばかりだった。

 パキスタン山岳会(Alpine Club of Pakistan)のカラール・ハイドリ(Karrar Haidri)氏はAFPに対し、キム氏は19日、ブロードピークから下山途中でクレバスに転落し、行方不明となったと述べた。

 ブロードピークは、8000メートル峰14座のうち、12番目に標高が高い。

 キム氏は18日にブロードピークの登頂に成功。8000メートル峰14座すべての登頂に成功した、世界で44人目の「14サミッター」となったとハイドリ氏は語った。障害者としては初だという。

 キム氏は1991年、米アラスカ州デナリ(Denali)山に登った際に10本の指すべてを失った。

 パキスタン政府のシファト・カーン(Sifat Khan)氏はAFPに対し、ブロードピークの厳しい気候条件では長時間生き延びられる可能性はほぼないと述べた。「キム氏は死亡したとみられる。これほど長く生きていられる人間はいない」

 カーン氏によるとキム氏は、下山途中に恐らく中国側に転落したとみられる。天候が回復次第、捜索活動を開始するという。(c)AFP