【7月21日 AFP】米民間宇宙開発企業ブルー・オリジン(Blue Origin)は20日、同社初となる有人宇宙飛行を実施した。同社の創業者で、世界一の富豪であるジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏らを乗せた宇宙船は、数分間にわたり宇宙空間に滞在した後、テキサス州の砂漠に無事着陸した。

 同社の宇宙船「ニュー・シェパード(New Shepard)」は日本時間の20日午後10時12分、テキサス州の砂漠地帯にある発射場から打ち上げられ、高度10万7000メートルに到達。ベゾス氏を含む乗客4人は丸い地球を眺めながら、無重力状態を体験した。

 そのほかの乗客は、女性パイロットの先駆け的存在であるウォリー・ファンク(Wally Funk)さん(82)、べゾス氏の弟マーク(Mark Bezos)さん、オランダ人のオリバー・デーメン(Oliver Daemen)さん(18)。ファンクさんは史上最高齢、デーメンさんは最年少で宇宙飛行を行った人物となった。

 宇宙船は約10分の飛行を終え、テキサス州の砂漠に着陸。乗客4人は着陸地点で家族にハイファイブやハグで出迎えられた。

 ベゾス氏は、帰還後に開いた記者会見で、宇宙から地球の美しさとはかなさを目の当たりにし、「畏敬の念」に打たれたと語った。

 ベゾス氏は「宇宙に行った人は誰もが、それによって自分が変わったと語る。地球とその美しさだけでなく、そのはかなさに驚嘆し、畏敬の念に打たれる、と。私もそれは断言できる」と語った。

 また、地球の大気は地上では「とてもたくさん」あるように感じるが、宇宙から見ると「実際にはとても薄いことが分かる。とても少なくてもろいもので、私たちは地球を動き回る中でそれを傷つけている」とし、「それを頭で理解することと、実際にこの目で見ることは別物だ」と語った。

 同社は宇宙飛行の映像を公開。乗客らは、ほぼ無重力に近い状態で宙返りをしたり、他の乗客が投げた菓子を口で受け止めたりした。

 史上最高齢で宇宙飛行を行った人物となったファンクさんは、「とても楽しく、素晴らしかった」と回想。「もう一度行きたい。すぐに!」と語った。

 今回の宇宙飛行では搭乗権の一つがオークションに掛けられ、2800万ドル(約31億円)で落札されたが、落札者はスケジュールの問題により今回は参加を見送った。代わりに、オークションで2番目に高い金額を提示した投資ファンド経営者が権利を得て、息子のデーメンさんを搭乗させた。

 映像はブルー・オリジンが公開した動画の一部。20日撮影・提供。(c)AFP