「人類を代表して」五輪自転車競技に臨む アフガン難民の女子選手
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【7月23日 AFP】東京五輪の自転車ロードレースに出場するアフガニスタン難民のマソマ・アリ・ザダ(Masomah Ali Zada、24)は、祖国を離れざるを得ない女性やスポーツをする夢を諦めざるを得ない女性の希望の光になりたいと考えている。
アフガニスタンでは、スポーツウエア姿で人前で自転車に乗っているだけで石を投げ付けられ、暴力を振るわれた。
東京五輪には難民選手団の一員として参加するが、自分が代表するのは、世界に8200万人いる難民・国内避難民、そして、抑圧的な社会に生きる女性やイスラム教徒の女性アスリートだと思っている。
その重責を誇りに思うと話す。
「人類を代表するつもりです」とアリ・ザダはAFPに語った。
「自分のためだけではありません。アフガニスタンの全ての女性や、アフガニスタンのように自転車に乗る権利が認められていない国にいる全ての女性のためです」と言う。祖国では、強硬路線の旧支配勢力タリバン(Taliban)が全土で再び勢力を拡大している。
「自分の国を離れるしかなかった全ての難民のためでもあります」とアリ・ザダは付け加えた。「私の後に続く難民のために扉を開きたい」
国際オリンピック委員会(IOC)は、難民の56選手に奨学金を出し、このうち29人が東京五輪に出場する。アリ・ザダは28日、女子ロードレースの個人タイムトライアルで25選手と22.1キロのコースを走るが、タイムトライアルは初体験だ。
スイス・エーグル(Aigle)にあるUCIワールドサイクリングセンター(UCI World Cycling Centre)で、1か月間の強化訓練を受けた。
同センターで指導したジャンジャック・アンリ(Jean-Jacques Henry)氏はアリ・ザダについて、アフガニスタンで最高の女子自転車選手だと評し、進歩の速さを称賛した。
少数民族ハザラ人(Hazara)のアリ・ザダは、イランでの亡命生活中に自転車競技の魅力に目覚め、家族でアフガニスタンの首都カブールに戻った後、16歳で代表チームに選ばれた。