【7月22日 AFP】東京五輪は持続可能性を優先事項として掲げ、よりグリーンな(環境に優しい)未来を築くため、日本のような炭素排出上位の国々ができる課題解決の方法を示そうとしている。

 取り組みの事例として、選手村に置かれたリサイクル可能な段ボール製のベッド、再生可能エネルギーによる電力供給、競技で発生するごみを最小限に抑えるといったことが挙げられる。

 しかし、世界規模の大イベントの例にもれず、東京大会も避けられない痕跡を地球に残すことになるだろう。大会が環境に与える影響の要点をまとめた。

■273万トンの二酸化炭素排出

 273万トン──この数字は東京大会のカーボンフットプリントの最新推定値だ。モンテネグロなどいくつかの国家の年間排出量を上回っている。

 カーボンフットプリントとは、ある活動を通じて発生する温室効果ガス排出量を二酸化炭素(CO2)に換算した数値。商品生産の場合、原材料調達から廃棄・リサイクルまでの総排出量だ。

 これには、会場やその他インフラの建設・改修で発生した150万トンのCO2も含まれている。

 ただ、新型コロナウイルス感染リスクを抑えるために海外からの観客受け入れを断念した3月の決定は、反映されていない。

 海外の観客の航空機による移動や、宿泊で発生すると推定されていた排出量を差し引くと、カーボンフットプリントの合計は約34万トン減少すると主催者はみている。

■炭素排出量の相殺

 東京大会のカーボンフットプリントはすでに、リオデジャネイロ大会(2016年)やロンドン大会(2012年)を下回っている。

 さらに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)は先月、「排出量取引制度」の下で無償提供を受けた438万トン相当の排出枠により、大会のカーボンフットプリントは「相殺」されると発表した。

 だが、このような取引は論議を呼んでいる。環境活動家は、大企業が排出量削減のため全面的に業務改善するのではなく、一時しのぎのため排出権に金を払っていると非難している。いくつかの相殺プロジェクトは実現さえしなかった。