【7月20日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は20日、東京五輪の開催をめぐって「疑念」と「眠れぬ夜」にさいなまれてきたと明かした。

 新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京五輪は23日に開会式を迎えるが、ここまでの道のりでは前例のないほど多くの問題が起きてきた。大半の会場は無観客で行われるが、東京では依然として緊急事態宣言が発令されており、開催に反対する国内の声は根強い。

 この日、東京で開かれたIOC総会で演説したバッハ会長は、延期という五輪史上初のステップは想像していたより複雑だったとの認識を示し、「この15か月間、非常に不透明な状況の中で、われわれは多くの決断を余儀なくされてきた。毎日、疑念を抱いていた。熟考と議論を重ね、眠れぬ夜もあった」と述べた。

「これはわれわれに重くのしかかった。私にもだ。しかし、きょうのこの日にたどり着くには、われわれは自信を与え、この危機から抜け出す道を示す必要があった」

 バッハ会長が来日してから国内では各地で抗議活動が行われており、朝日新聞(Asahi Shimbun)が実施した最新の世論調査では、今夏の開催に反対との回答が55パーセントに上っていることが示された。

 選手村ではこれまでに4人の陽性が判明しており、アスリートをはじめ関係者やメディアなど大勢の人の流入が、国内の感染者数を急増させるとの懸念が高まっている。合宿地にいる米代表の体操選手1人を含め、五輪関係者ではこれまでに計71人の陽性が確認されている。

「ようやく暗いトンネルの出口が見えてきた」というバッハ会長は、「中止は一度も選択肢になかった。IOCは決してアスリートを見捨てたりしない。われわれは、アスリートのためにやってきた」と強調した。(c)AFP/Talek HARRIS