牛ふんのコロナ治療効果否定の活動家、インド最高裁が釈放命令
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【7月20日 AFP】インドの最高裁判所は19日、牛のふんで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は治療できないとフェイスブック(Facebook)に投稿したとして、扇動の疑いで2か月間拘束されていた活動家の釈放を命じた。
ヒンズー教では牛が神聖視されており、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相率いるヒンズー教至上主義政党「インド人民党(BJP)」の政治家の一部は、COVID-19などの疾病の予防と治療に牛のふんや尿を利用しようという活動を支援している。
活動家のエレンドロ・レイチョンバン(Erendro Leichombam)さん(40)は5月、BJPに所属する北東部マニプール(Manipur)州議会議員が亡くなったことについてフェイスブックに、「新型コロナの治療法は牛のふんや尿ではない。科学と常識だ」と投稿した。
BJPの政治家がこれを批判。遺族とBJP党員らの「宗教的感情を踏みにじった」容疑でレイチョンバンさんはすぐに、地元ジャーナリスト、キショーレチャンドラ・ワンケム(Kishorechandra Wangkhem)さんと共に逮捕された。
レイチョンバンさんには、物議を醸す国家安全保障法(NSA)で1年の拘束が認められている扇動容疑がかけられた。
最高裁は19日、レイチョンバンさんの継続的な拘束は人権侵害に当たるとして、釈放を命じた。ワンケムさんは引き続き拘束される。
モディ政権は、ジャーナリストや人権活動家ら数千人を扇動容疑やテロ対策法違反で逮捕している。
今月には、テロ容疑で9か月にわたり拘束していた部族権利活動家のスタン・スワミー(Stan Swamy)神父(84)が獄中で死亡し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などから批判を浴びた。(c)AFP