【7月19日 AFP】英政府は19日、イングランドで新型コロナウイルス対策の規制を撤廃した。専門家や野党は無謀だと非難している。

 19日午前0時、ナイトクラブが営業を再開し、その他の屋内施設も人数制限なしでの営業が可能となった。ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)、マスク着用や在宅勤務などの規制も撤廃された。

 サジド・ジャビド(Sajid Javid)保健相が新型ウイルスに感染したことで自主隔離しているボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は、引き続き用心し、ワクチンをまだ接種していないなら接種するよう呼び掛けた。

 1日の新規感染者がインドネシアとブラジルに次ぐ5万人を超え、専門家が重大な懸念を示しているにもかかわらず、ジョンソン氏は規制撤廃を擁護し、一部メディアは「自由の日」と呼んだ。

 ジョンソン氏はビデオメッセージで、「今やらなければ、新型ウイルスが寒さで有利となる秋や冬に規制を撤廃することになる」とした上で、今週から始まる学校の夏休みが「重要な防火帯」になると語った。

「今やらなければ、いったいいつやるのかと自問しなければならない。今が好機だが、慎重にやらなければならない」

 野党・労働党のジョナサン・アシュワース(Jonathan Ashworth)議員は、政府を「無謀」だと非難し、規制撤廃は世界中の人々の健康を危険にさらすという専門家の意見を繰り返した。

 英国では、成人の3分の2がワクチン接種を完了し、全員が少なくとも1回の接種を終えるなど、ワクチン接種計画が成功を収めており、政府は医療へのリスクを管理可能だと主張している。

 しかし、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)のニール・ファーガソン(Neil Ferguson)教授は、英国で感染力の強い変異株「デルタ株」が猛威を振るっており、1日の新規感染者が10万人に達するペースだと警告した。

 ファーガソン氏は英BBCに対し、「本当の問題は、(新規感染者が)その2倍、あるいはそれ以上になることだ」と述べた。「1日の入院数が2000人、1日の新規感染者数が20万人になる可能性はあるが、確実性は乏しい」 (c)AFP