【7月19日 AFP】ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は18日、西部の洪水被災地を訪れ、「現実とは思えない」惨状に衝撃を受けたと述べた。洪水の死者は、ドイツとベルギーで計190人を超え、数十人が今も行方不明となっている。

 メルケル氏は、西部で最も被害の大きかった2地域の一つ、ラインラント・プファルツ(Rhineland-Palatinate)州シュルト(Schuld)を視察。同州のマル・ドライヤー(Malu Dreyer)首相が同行した。

 ハイキングブーツを履いたメルケル氏は、多発性硬化症を患っているドライヤー氏の手を握って支えながら被災地を歩き、住民の話に耳を傾けたり、救助隊員とこぶしを合わせてあいさつしたりした。

 シュルトでは、アール川(Ahr River)が氾濫して複数の住宅が流され、がれきが路上に積み上がっていた。

 メルケル氏は、被害状況について「現実とは思えない」と評した。「衝撃的だ。ドイツ語には、この惨状を表す言葉がないと言っても過言ではない」

 復旧に向けた迅速な支援を約束した上で、地球温暖化によって異常気象が発生しやすくなっていることから、世界各国は気候危機への取り組みを強化しなければならないとも述べた。「気候変動への対策を急がなければならない」

 ドイツ警察によると、記憶に残る限り同国史上最悪となった今回の洪水で14日以降、少なくとも160人が死亡した。うち112人は、ラインラント・プファルツ州で確認された。

 隣国ベルギーでも少なくとも31人が死亡した。スイス、ルクセンブルク、オランダ、オーストリアもここ数日、豪雨に見舞われている。(c)AFP