【7月18日 AFP】米ニューヨークのグリニッチビレッジ(Greenwich Village)にある何の変哲もない店「ブリーカートレーディング(Bleecker Trading)」で、十数人の男性たちが黒いブリーフケースからスポーツ選手のトレーディングカードを取り出し、取引を始めた──新型コロナウイルスの感染が拡大する間に、趣味としてのトレーディングカードの需要が急増した。

 この取引があった7月6日、米プロバスケットボール(NBA)のゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)を3度チャンピオンに導いたステフェン・カリー(Stephen Curry)のカードを、サンフランシスコを拠点とする投資会社が史上最高額の590万ドル(約6億5000万円)で買い取ったと発表。ブリーカートレーディングに集まった男性たちの興奮も高まっていた。

 ジュエリーディーラーのマイケル・カンポバッソ(Michael Campobasso)さん(38)は、この高額買い取りの発表をきっかけに自身が所有するカリーの新人時代のカードに買い手が付くことに期待を寄せている。

 カンポバッソさんは昨年2万5000ドル(約270万円)でこのカードを購入したといい、「(590万ドルで買い取られたカードの)次にみんなが欲しがる物の一つだと思う。8万ドル(約880万円)なら売りたい」と語った。

 ここ数年、スポーツ選手のトレーディングカードの市場は成長している。新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)によって再びファンが活気づくとともに、新たなファンも参入。さらに、投資家たちの存在によって価格は急騰している。

 今年2月、NBAチャンピオンに6度輝いたマイケル・ジョーダン(Michael Jordan)のサイン入りレアカードが144万ドル(約1億6000万円)で落札され、同氏のカード史上最高額を約50万ドル(約5500万円)更新した。

 また、4月にはレブロン・ジェームズ(LeBron James)の新人時代のカードに520万ドル(約5億7000万円)の値が付いた。

 ブリーカートレーディングで取引されていたカードの多くはバスケットボール選手の物で、主催者の推計では、店にこの日持ち寄られたカードの総額は2000万ドル(約22億円)に上る。

 今回最も高額だった取引は9万ドル(約990万円)を超え、野球の大谷翔平(Shohei Ohtani)や米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の若きクオーターバックのジャスティン・ハーバート(Justin Herbert)のカードなど、複数枚が取引されていた。

 映像は6日撮影。(c)AFP/Peter Hutchison