【7月18日 AFP】大麻は約1万2000年前に今の中国で最初に栽培されたとする研究結果が、16日に発表された。

 米科学誌サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)に掲載された論文によると、主に法的な制限が理由で、大麻の栽培化に関するゲノムの歴史は他の作物に比べて十分に研究されてこなかった。

 研究チームは、野生種や従来種、栽培変種、ドラッグと麻に用いられる現在の交配種という全範囲をカバーする110の全ゲノムを収集。「大麻の栽培植物化の時期と起源、栽培化以降の分岐パターン、そして現代の遺伝的多様性」を突きとめたとし、「大麻は新石器時代初期に東アジアで最初に栽培化され、現在の麻とドラッグに用いられる品種のすべては、中国の野生種と在来種が現在示している先祖の遺伝子プールから分岐している」と結論付けた。

 大麻は長年、布地のほか医療・嗜好(しこう)用に使われてきた。大麻ゲノムの進化から、大麻が数千年にわたって多様な用途のために栽培されたことが分かる。

 麻とドラッグそれぞれの用途に高度に適した現在の品種は、約4000年前に始まった選択培養に由来すると考えられ、繊維やカンナビノイドの生成を最適化した。

 スイス・ローザンヌ大学(University of Lausanne)のルカ・フマガリ(Luca Fumagalli)氏が率いた今回の研究には、英国、中国、インド、パキスタン、カタール、スイスの科学者が参加。

 研究チームによると、ゲノムの時代測定の結果、麻・ドラッグ用品種の初期の栽培種は約1万2000年前に「基礎となる大麻」から分岐したもので、「新石器時代初期までにはすでに栽培化されていた」という。

 また「これまで広く受け入れられてきた見解では大麻栽培化の起源は中央アジアだとされてきたが、研究結果は、東アジアの大麻が栽培化における単一起源であることと矛盾していない」としている。

 さらに、現在中国で確認される野生植物の一部は、麻とマリフアナの品種の派生元となった先祖の遺伝子プールの子孫と最も近いことが示されたという。

 研究チームは「東アジアはいくつかの作物にとって栽培化における重要な古代のホットスポットであったことが示された」としている。(c)AFP